■事例2:株式会社エムステージマネジメントソリューションズ様
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田中宏典 さん |
エムステージマネジメントソリューションズは、全国の医療機関に対し、第三者承継や親子承継、法人譲渡等にかかわる支援を専門とするM&A支援機関です。私たちは医療を「地域インフラ」と捉え、「医療を止めない」ための承継支援を企業理念の一つに掲げています。実際の支援では、単なる売買仲介にとどまらず、譲渡医療機関の院長の想い、患者との関係性、スタッフの雇用継続や医療機器の活用、さらには地域の診療機能をどう維持するかという広い視点を持って進めています。このように、制度・人・地域・経営が複雑に絡む承継支援の現場において、私たちが頼りにしているのが、医療経営士としての知見です。
現在、当社は社員全員が医療経営士資格(1級~3級)を保有する組織であり、支援現場では「医療をわかる支援者」として日々実務に向き合っています。
私たちが関わる医療機関の多くは、経営資源が限られた中小規模の診療所・クリニックであり、院長の高齢化、後継者不在、人材の定着難といった複合課題を抱えています。こうした状況下で承継を進めるには、財務や法務といった専門的要素に加えて、「医療制度の理解」「診療現場に対する共感」「地域医療の役割認識」が求められます。医療経営士の体系的な知識と、現場で培われる対話力・調整力は、この"多次元の支援"を実現するための大きな武器となっています。特に、資格取得を通じて身につく"制度横断的な視野"は、医師との信頼構築においても極めて有効で、「医療の言葉が通じる支援者」としての価値を高めてくれています。
例えば、ある診療所の承継では、医療経営士の視点から診療報酬改定の影響を事前に分析し、譲受側・譲渡側双方にとって最適な事業計画を策定できたことで、スムーズな合意形成に繋がりました。
当社では、資格を取得して終わりではなく、日々の実務にどう活かすかを重視しています。例えば、支援にあたる前の内部検討会では、医療経営士の視点をもとに、診療報酬制度や医療提供体制、医師の働き方、診療圏などを整理したうえで支援方針を設計します。また、社内では制度改正や事例共有を通じて、学びを日常化する工夫も行っています。組織全体が"資格を活用する文化"を共有することで、より精度の高い支援を可能にしています。
私たちは現在、累計500件以上の医業承継相談に対応し、第三者承継・親族承継・法人間譲渡など50件以上(2025年7月現在)の成約を支援してまいりました。その過程で見えてきたのは、「医療経営士が現場にいること」の社会的意義です。支援者としての信頼性、意思決定支援における合理性、そして当事者同士の橋渡しを担う共通言語──それらの要素を兼ね備える医療経営士が、今後ますます医療機関経営の持続性にとって重要な役割を果たすと考えています。今後も、支援の現場から医療経営士の価値を可視化し、制度・地域・経営をつなぐ専門職として貢献してまいります。
医療経営の持続可能性に貢献する医療経営士の活動に、今後もご注目ください。
<企業情報>
株式会社エムステージマネジメントソリューションズ
東京都品川区大崎2-1-1 ThinkPark Tower 5F
医業承継サポート(https://shoukei.mplat.jp/)